2月14日、曇りのち晴れ。
最高気温は9度。
でも、じっとりとまとわり付く底冷えのおかげで、体感温度はやたらと低い。
京都の冬の気候は、いつだってこんなもんだ。
文学部では講義もテストもとっくに終わったこの時期に、ほとんど毎日大学に通うのは、院生の中でもちょっと変わった部類に入るかもしれない。
博士課程《ドクター》ならともかく、おれはまだ修士1回生《エムイチ》。
そう勤勉にやる必要もないんだけど。
おれが大学に出てくる理由の何割かは、体育会剣道部の道場にある。
子どものころから剣道をやっている。
大学の剣道部は4回生で引退したものの、道場は開放的で、現役部員たちの規定練の邪魔さえしなければ、一日じゅうここにいたって許される。
同じように入りびたるOBもけっこう多くて、ざっくばらんな空気がすごく好きだ。
今日は夕方に家庭教師《カテキョ》のバイトがあるから、昼飯の後、早めに道場に来て竹刀を振った。
現役部員の自主練に付き合って試合の相手になってやったけど、ほとんど瞬殺。
もうちょっと腕を上げてから挑んでくれよ。