窓から僅かに差し込む月明かりが、部屋を不気味に浮き上がらせる。


女の上に馬乗りになっている男、その壁に映し出されている影は、私と彼のものだ。
嫌がる私を無理やりベッドに押さえつける彼は、まるで理性も感情もない獣のような恐ろしい瞳をしていた。


手を頭の上で拘束された私には、もはや彼から自力で逃れる術はなく、これから起きるであろう事象を想像しては、恐怖に震えて涙を流すしかなかった。


いくら私が泣き叫んで懇願しても、彼の私を押さえつける手の力は強まるばかりで。


「いいな、その顔……。すげーそそる」


涙でグシャグシャになった顔をうっとりと見下されながらそんなことを言われれば、恐怖と絶望にゾクリと背筋が凍りついた。


「お前ってさぁ……本当に馬鹿だよな」


青白くて細く長い彼の指が、私の首に回される。


「そんな顔してやめて、って言ったって……余計に俺のこと煽るだけだって分かんねーの?」


くく、と妖しく笑うと、彼は指に力を込める。
徐々に首が締め上げられて、苦しさと恐怖に更に涙が溢れた。
最後の力を振り絞った「やめて」という言葉さえも、情けない吐息となって声にならずに消えた。


「さーて……俺の言うことが聞けない悪い子には、たっぷりお仕置きしてやらねーとなァ?」


苦しさに身悶える私の耳元に唇を寄せると、彼は狂気に満ちた愉快そうな声で囁いてくる。


「……今夜は、 “死ぬ直前まで” だ」


ゾクリ、全身の血が一瞬にして凍りついた次の瞬間には一気に首を強く締められ、呼吸以外の事は何も考えられなくなった。


どうしてこうなったんだろう。


どうして……。


でも、悪いのは全て私。


私が彼を






狂わせてしまった。