ある日曜日の朝、いつもの目覚まし時計が頭に響く。

「さ、むい…」

なにこれ。頭がガンガンする、世界が回ってる…。分厚い布団をかぶってるのに寒い…。

「うそ~今日ゆーちゃんとデートなのに…」

手探りでスマホをとって、通話履歴の一番上にあるゆーちゃんの連絡先をタップする。

3回コールして、繋がった。

「もしもし、あいか?」

「もしもし…おはようゆーちゃん」

「おはよ、どうしたの?声変じゃないか?
まさか…風邪ひいた?」

さっきまで頭がガンガンしてたのに、ゆーちゃんの声を聞くと、それさえなくなったような気になる。安心したら、涙が滲んできた。

「ゆーちゃん…っ」

「え、泣いてるのか?ほんとにどうしたんだ?今どこにいるんだ?大丈夫か?」

ゆーちゃん、めっちゃ焦ってる。心配かけちゃったかな…。

「頭痛くて、すっごく寒いの。今日デートなのに、行けそうにない…。ごめんなさい」

「やっぱり風邪?俺、様子見に行こうか?」

「え、いいよそんなの、移したくないもん」

「困った時はお互い様だろ。俺のことは気にしなくていいから。」

ゆーちゃんは、それだけ言うと電話を切った。
うそ…ほんとに来てくれるのかな?

とりあえずいつものカバンから鏡をとって適当に髪を整える。

「やっぱりゆーちゃん、優しい…」