――鋭い視線。



途端にランスの周りに殺気を感じる。


「な、なに……?」


その問いにランスは答えない。

ただならぬ雰囲気に、私は息を飲んだ。

鋭い視線を横に向けたままランスは素早く立ち上がると、私に背を向け、腰にあった鞘から長剣を抜き取る。

ジャッと金属の擦れる音が響き、鏡のような光沢の刃が現れた。

陽の光に怪しげに反射し、私の背筋をゾッとさせる。


「――後をつけていたな。薄々は気づいていた」


そう低く感情のないトーンで呟くと、片手で長剣を持ち構える。

そして振り向かないまま、私の名を呼んだ。


「アリシア」

「え?」

「――伏せろ」