【陽太side】

「昨日で、3年……か」



「陽太?……あぁ、彩羽ちゃんのこと考えてんの?」




「3年たったからもう日本にいるんじゃないか、なんて考えてるわけ?」




「実はまだアメリカかもな」




3年たっても俺の気持ちは相変わらず。彩羽が好き、それだけ。



最初は興味本位だった。


隣の席になった、四天王と呼ばれる俺らに興味を示さない女。



正直そんな女初めてで。



そんな彩羽が俺らのマネージャーになって、一つ屋根の下で暮らすようになって。


好きになったのは、割とすぐだった。




「まだ持ってんの?そのネックレス」




「当たり前だろ」




「未練たらたらの元カレみたい」




そんなことをつぶやいた楓の頭をひっぱたいて。




「彩羽ちゃんの唯一の忘れ物だもんな」




「忘れ物って言うか……アイツは多分、わざと置いていったんだと思う」




ピンクゴールドの、羽のネックレス。


これは俺からの誕生日プレゼント。



俺宛の手紙の中に入っていたから、きっと俺に預けたつもりなんだと思う。




「思い出に浸ってるとこ悪いけど、時間だよ」




美月に声をかけられ、俺らは楽屋を出る。




「せっかくの5周年ライブなんだから、しっかりやってきなさいよ!!」




「当たり前。美月に言われなくてもわかってるし」




「もうガキじゃないんで」




「なにかっこつけてんだか……彩羽ちゃんが見てると思って、精一杯やって来い」




「おう」




俺は彩羽のネックレスをポケットにしまい、上から一度握った。


_俺の声を、きっとどこかで聞いていると思うから。




だから俺は、今日も歌うんだ。