あれから1週間が過ぎた。

あの後目が覚めると、すっかり熱は下がっていた。

でも、彼女の姿はなく、『仕事に行く』というメモと朝食、戸締まりのためのスペアキーが置かれていた。
俺は彼女が用意してくれた朝食を食べてから、部屋を後にした。

結局きちんとお礼も言えず、名前すら聞くこともできなかった。

玄関ドアのネームプレートには“ASAKURA”と書かれていた。

アサクラさんか…

今度会ったら、お礼を兼ねて食事に誘ってみよう…

ここ1年、最低でも週に一度は帰りが一緒になるのに、今週は会えなかった。

何かあったのだろう…

看護師も忙しいからな…

会わない日が続くようなら、玄関ポストに手紙を挟んでおくか…

そんなことを考えながら、仕事に向かった。