沙希は毎日、小田急の相模大野から乗って、新宿経由で

大学に通っていた。




ある朝、雨が降り、駅に着いたところで、傘をたたみ、

水気を取る為に、傘を振るわせて水を飛ばしていた所、




後ろにいるサラリーマン風の男性には気付かず、

謝って傘を後ろに引いた所、バッと当たってしまった。




直ぐ沙希は




「あぁあぁ~すいません。大丈夫ですか?」




「えぇ~何とか大丈夫です、弁慶に当たってしまいましたが。」




その男性は、顔を顰めながらはにかみながら沙希を見た。




「ほんとに大丈夫ですか?自分ドジで…。」




「もぉ本当に大丈夫なんで、気にしないで下さい。」




沙希に言った後、すっとかがめていた体をおこして、

手を差し伸べて、




「じゃあ行きましょうかっ。遅れますもんねっ。」




男性は手を促して、改札の方向にやった。




「はい。」




沙希は言われるがまま、先を行き、後ろから男性が

ついて歩いた。