休み明け、あたしは札幌に来ていた。


クリスマス会の次の日。
札幌支店の大島リーダーから電話がきた。
人間関係のトラブルでもう収拾がつかない、と。
支店のフォローがあたしの仕事。
実務に限らず、メンタル面も含めて。
年内はもう支店への臨店は無く、本社で静かに仕事納めを迎えられると思っていたのに。

日曜のうちに出張の手配をし。
月曜とりあえず本社へ出社して。
課長と仕事の調整をしてあたしは飛行機に乗った。





***




札幌支店に着いてまず。
智樹がいるかどうかを確認した。

あのあと。
電話もメッセージも来ていた。
あたしはそれらを全部無視した。
…顔、合わせたくない。


「お疲れさまです」

「相田さん」

支店に入っていくと、疲れた顔の大島リーダーが迎えてくれた。
サッと見回した支店の中に智樹はいなくて、ほっとした。


「年末ギリギリですいません」

「まず、話を聞かせてください」


事務メンバーのピリついた空気。
ウザがられてるのはいつものこと。
あたしはバッグを置いて大島リーダーと会議室へ移動した。


「辞めてもらうか、異動してもらうか。3月までに何かしら決めようと思います」


あたしは課長と話したことを大島リーダーに伝えた。
もう現状のまま続けることは難しいだろうというのが、あたしと課長の判断だった。
いまの状況が仕事の面にもミスとして出てきてしまっている。


「…すみません」

「大島リーダーが謝ることじゃないです。年明け改めて全員との面談をしようと思います」

「わかりました」


大島リーダーと今後の方向性などの話をする。
個性の強いメンバーをまとめるのは大変だろうと思う。
それに大島リーダーは気が弱いほうだし。
強く言えないぶん、自分が我慢してしまっている。
電話ではだいぶ弱った雰囲気だったが、とりあえず話を聞いたら落ち着いたようだった。