「こほっ、こほ……」

「麻奈葉(まなは)、大丈夫?」

「うん、大丈夫……ごめんね真鳥(まとり)。せっかくの休日なのに無駄にしちゃって……」

「無駄なんかじゃないよ!それより私は麻奈葉が大事だもん。ケーキバイキングなんてまた機会があればいつでも行けるし!」

私は麻奈葉の冷えた手を強く握った。

「ありがと……」

麻奈葉が柔らかく微笑んだ。




十一月。

茶色い落ち葉が地面を侵略しようとするように埋め尽くしていく。

ハロウィンも終わり、クリスマスにはまだ早いこの微妙な時期。

私は、親友の田鹿 麻奈葉(たじか まなは)のお見舞いに来ていた。

天井も壁もカーテンも白で統一された部屋の中にいる麻奈葉は、なんだか同化して消えちゃいそうに見える。

彼女は生まれつき身体が弱くて、入退院を繰り返してる。

今日は一緒にケーキバイキングに行こうとした途中に倒れ、病院に運ばれるとそのまま入院して、遊ぶ計画がパーになってしまった。

気合いを入れて、普段着ないようなお洒落な服で行こうとしてた私に対して、麻奈葉は本当に申し訳なさそうにしてる。