敏に言われるがまま、私達は館へ来た。

館の前には「立ち入り禁止」と書かれた汚れた立て札がある。


「ほらっ、さっさと行け!」


敏が相模の背中を強く押して、相模に館の中に入るように命令する。

相模は振り向き、私達の顔をじっと見つめる。


助けを求めているのだろうが、相模を助ける人なんて、いるわけがない。


「早く行けって言ってんだよ!!」

キレた敏が、立て札を蹴る。

ボロボロの立て札は、敏に蹴られただけで呆気なく倒れてしまう。


それを見て驚いた相模は、敏から逃げるようにして館の扉を開け、館の中へと入っていった。


「うわー…マジで行ったよあいつ」

相模が入った扉を見ながら、俊秀が言った。


「じゃ、俊秀と唯也、後はよろしくなー」

あくびをしながら敏が言う。