1999-6-7

「はぁ……。」

私は、書きつづったノートを見て大きなため息をついた。まるでなにも情報が増えない。
この前、弥生の家に行って得た情報から
全然増えていない。

何もやってなかったわけではない。
それはそれは聞き回った。関係してそうな人、例えば同じ部活仲間、小.中同じ学校だった人、先生、なんなら近所のチビッ子までにも聞き回った。
弥生が一緒にいないと、初めてあった人なんか声をかけることすらできない私が!!!
コミュ障なりに!!!!頑張りました!!!


「でも情報ないならだめだよな~」

そう私が膨れていると、あることを思い出した。
あ、一番大切なとこ調べてないわ。





ピンポーン
ピンポーン
ピンポーン


「環奈でーす、また来ました!」

弥生の家に来たのだが反応がない。それもそうか。この家には誰もいないからだ。
あの母親はどうしたのかって?
もうこの家にはいないよ。

あの事件があって、私と話したその次の日には精神病院に入院したそうだ。
なんでも、奇声を発して家の周りを暴れているところを近所の人が通報して決まったらしい。

「さぁ、どうすっかな~。」

とりあえず家の裏に回った。
やっぱり。あった。ここの家の裏口はゆるい。
1度弥生と遊んだ時私が調子に乗って走ったら
ぬかるんだ地面に滑って扉に大当たり。
その後は……ご想像に任せようかな。

「よーし、やるっきゃない!」

ドアノブに手をかけ、力を込めて引っ張る。
あれ?軽い?空いてたのか。なんてゆるい家。
まぁ、こっちには好都合なんだけど。

「おじゃましまーす。」

そろーりと入る。綺麗にしてあるな~、と思いながら弥生の部屋に急ぐ。
そう、私の今日の目当ては弥生の部屋なのだ。

「なにか、なんでもいい、犯人の証拠かなにかがあればいいんだけど、、、、。」

探り始めてかれこれ2時間経った。

「やっぱりか〜!!!!」

何にもない。それはそうか。警察が全て持って行っているもんな〜。入れたことすら奇跡か。
そう思いながら帰ろうとしたその時、

ガタッ

音がした方見ると、
机の上にパソコンが置いてあった。

おいおい嘘だろ。さすがにこれを見落とすほど、私も、ましてや警察も馬鹿じゃない。
背中がゾクッとした。
だけどこんなことでビビってられない。

「その挑発、乗ってやろうじゃん。」

そっと触れる。弥生のパソコンだ。
この中には色んな情報が入ってるに違いない。

私は意気込んで電源をつけた。
そしていざ調べようとした、その時。

パスワードがついているのだ。
4桁のパスワードが。

「弥生、、さすがちゃんとしてる、、、、。」

試した。弥生の誕生日、出席番号、色々と試した。だが、開かない。

最近のパソコンはパスワードを何度も間違うとセキュリティが発動し開かなくなってしまう。
チャンスはあと1回、、、。
これは慎重にしなくては。

ふと、思いついた4桁を入れた。まさかね。
カチャカチャ、、カチッ。

ウィーン

開いた。まさかこの番号とはね。
ますます弥生が愛おしくなる。

「私の誕生日をパスワードにすんなっつーの。
恥ずかしいじゃん。」

あの日から初めて目が少し熱くなった。