1996-5-31

「でさでさ!もう次のヤツ狙ってんの?ww」

そいつは意地汚い笑い方で俺に問いかけた。

「流石になぁ~、狙ってなくはないけどなw」

俺はそう言って返すとそいつはさらに大きい声で笑った。そう、それでいいんだ。
笑いたい時には笑って、捨てたい時は捨てれるようなこの関係が。

「佐藤くーん!佐藤くーん!」

俺を呼ぶ声がする。たぶんマリちゃん。
メガネに三つ編みという典型的な委員長タイプ。ちょーっと日誌手伝ったらこれだもんな~。

「もう!佐藤くんてば!」

そう言ってマリちゃんは俺の服を引っ張った。そこで俺は、マリちゃんの頭の上をポンポンと叩いて耳元で囁いた。

「秀也ってよんでくれないの?」

するとマリちゃんは耳を真っ赤にして
バカ……と呟いた。いや~可愛いね。
可愛くて、すごく醜い。

「い、1年生が呼んでるよ……?」

そう聞いて教室の扉の方を見ると可愛らしい子がこっちを見て目が合った瞬間微笑みかけた。

うん。可愛い。決めた。

俺はマリちゃんに「ありがとう」と一言伝え、呼ばれた1年の女の子の方へ駆け寄った。

「ごめんね、待たせちゃって。何の用かな?」

そう微笑みかけると、1年の女の子はまた微笑み返してこう言った。

「ずっと好きでした。付き合ってください。」


まさか、こんな早くに告られるとは。
まぁ、いいんだけど。
それより、
こんな早く家に招いてくれるとは思わなかった。

それにしても可愛いな。
今一緒に帰っているのだがちょこんとしていて自転車を押す姿がすごく可愛い。
やっぱり女子はこうじゃないとね。



すぐに彼女の家に着いた。ふうん。ふつーな家。
そしてその子は自転車を置いてくるから先に彼女の部屋に入ってていいと言った。俺はそれを聞いて遠慮もせず教えられた彼女の部屋に入った。可愛い部屋だ。どことなくいい香りがする。
そうやって少し待ってると足音が聞こえてきた。
もうそろそろかな……?

ガチャ

入ってきた彼女はすぐ俺に抱きついてきた。
積極的だな。まぁ、それは全然良いんだけどw
俺はすぐに彼女の背中を手でなぞりホックを外そうとした。だが、外す前に俺自身の背中にある違和感を感じた。なんだろう……。じんわり濡れてくるような……。

刃物俺の背中に刺さっているような……。
やば。これはやばい。だがもう遅い。
消えていく意識の中彼女はこう言った。


「あの子は私だけのもの。」