俺は宮本の服を乱暴につかんで睨んだ。

「分かってる!!」

そう大声で叫ぶと、理由という名の言い訳を始めた。

「確かに悪いことだって事は十分に分かってたし、医療に関する者として最低なのは分かってる……。でも……この部屋を見て分かるだろ!?やってみたくもなるだろ!?」

「趣味と仕事をゴッチャにしてんじゃねぇっての!!つーか分かりたくもねぇよ!!」

「男だったら少しは分かってよ!!インターネットでチョチョイってやればこんな薬はアホみたいに出てくる時代だろ!?そりゃ自分だって作りたくなるじゃん!!」

「ならねぇよ普通!!だいたいテメェは男目当てだろうが!!俺はホモじゃねぇ!!」

「俺は……ホモだよ!!この際もう逃げも隠れもしないよ!キショいホモ野郎だよ!!悪いか!!」

「俺にとってはメチャクチャ悪いわぁぁ!!」

こんな言い争いを数分続けていると。

「はぁっ……はぁっ……暑っ……クソっ…マジでテメェふざけんなよ。」

俺は薬のせいか、口喧嘩のせいか、力尽きて床に座り込んでしまった。汗も滴り落ち、なんとなく頭がボーっとしてる。

「あ……だいじょう……ぶ?」

ハッとしたように宮本がこちらを見る。

「これは……大丈夫って言っていいのか……クソ暑いし汗は止まんねぇし……わけ……分かんねぇ……。」

「……とりあえずさ、ここ掛けてよ。床じゃ嫌でしょ?」

宮本はベッドに腰掛けるように進める。確かに、こんな物が散乱した床に座っているよりはマシだと思い、ベッドに腰掛けた。俺は頭を抱え、心拍数を落ち着かせようとした。しかし。

「……ダメだっ……全然……っ。」

声に息が混じり、体全体に熱が溢れ、頭には普段なら考えない事がよぎる。いっそ、身を委ねてしまった方が楽なのでは?と。

「九条君……?ほんとに……大丈夫なのかい?……色々……辛そうだよ?」

「っ!……触んじゃねぇっ!!」

肩に触れてきた手を勢いよく払う。バチンと弾く音を鳴らし、荒々しい呼吸音と、時計の音が部屋に響き渡る。

「っはぁ……はっ……さ……わんじゃ……ねぇっ……!」

『今にも……おかしくなりそうだ……なんなんだよこの薬っ……!!』

その薬の効果は抜群の様だ。下肢の熱は徐々に増していく一方で、少なくともズボンを隆起させるほどにはなっている。宮本に悟られ無いようにうずくまるが、バレるのは時間の問題だ。

「っ……ごめっ……触ったり、して……。」

宮本はしょぼんとした顔でこちらを見て来る。心底心配しているようだ。罪の意識がある様で、それなりに申し訳ないとは思っている様だ。だがしかし、下のテントがバレてしまえば俺のプライドはズタボロになるだろう。最悪なのは、幾度も男を弄んだであろう彼に、筆下ろししてもらうことになるかもしれないのだ。童貞を捨てていない俺として、それは何としてでも避けたい。逃れたい。阻止したい。なんとか邪念を祓おうと必死になるが、その抵抗も無駄だった。

「ね、ねぇ……九条くん……ほんとに、大丈夫……なの?体……どっかおかしくないの……?」

「……るせぇ……っ……もっ……ほっ…とけよ……。」

「で、でもっ……!」

「……っ……うるせぇっつってんだろっ……!」

黙ろうとしない宮本に苛立ちを覚え、勢いよく彼の胸ぐらを掴んだ。が……。

「痛っ───!ぁ……う…くっ……。」

「えっ……?」

膨れ上がったモノが、ズボンに引っかかり股間に痛みが走る。掴みあげたシャツが手からスルリと抜け、そのまま力なくベッドに座り込んだ。イライラしていて気が付かなかったが、俺自身の体はかなり切羽詰まった状態になっていた。それに気付いてしまった俺の意識は下肢へ持っていかれ、本能的に体を丸めた。

「く、ぁ……ん……ぐっ……く、そぉ……っ!」

「っ……え……?嘘……マジ……?」

宮本は口に手を当て、俺の反応に驚いている。まさかここまでの効果が出るとは、本人も予想外だったのだろう。

「こ、ここまで……とは……九条君をここまでにするなんてっ……俺は……ほんとに凄い薬を盛っちゃったみたいだね……。」

「っ……はぁっ……はぁっ……!」

『くそっ……!なんだよこれっ……こんな風になるなんて……初めて、だ……!』

この本能的欲求に抗う術はなく、耐え抜くのもそろそろ限界だ。頭の中の天秤が揺れる。宮本に身を任せるか、身体が壊れるまで耐えるか。理性か本能か。

「っ……とりあえず、さ……それ、辛いでしょ?……早く出して、楽にした方がいいよ……体に良くない……。」

切り出したのは宮本だった。俺の目線に合わせる様にしゃがみ、両脚の間に体を割り込むように入ってくる。その微かな動き、シャツが擦れただけで腰が跳ねる。

「っ、あ……!くっ…ぅ……!」

「……こんな、敏感なんだ……すごい……勃ってる……。」

とてつもなく恥ずかしい。奥歯を噛み締め、羞恥で耳まで赤くなっているのが自分でも分かった。ベッドのシーツを握り、力を込め震えた。これが最後の抵抗だろうと、彼の頭を押えるように掴み、首を横に弱々しく降る。荒くなった呼吸のうまく紡げない言葉が口から零れるように出る。

「やっ、めろ……っ……なにも、すんじゃっ……ねぇっ……!」

しかし宮本は、俺の顔を見ると嬉しそうに……妖艶な笑みを浮かべた。

「っ……そんな顔して……我慢出来るとでも思う?」

「うぁっ……や、めっ……!みや、もっ……と……っ!」

ズボンを下ろす過程でも、吐息混じりの甘美な声が漏れる。俺の抵抗は虚しく散り、彼は俺のベルトを外した。開放された熱は溢れんばかりに汗をかいていた。お気に入りのボクサーパンツに卑猥なシミを作り、分かりやすいほどに隆起していた。

「くぅ……っ!!」

「そんなに強ばらないでよ……今、良くしてあげるから……。」

『息がっ……当たるだけで……ヤバイっ……!』

吐息が当たるだけでビクビクとソレは痙攣した。早く出せと言わんばかりに膨らんだ下肢を、美味そうに見る宮本。

「それじゃあ……っん……。」

「んんっ……!?」

なんの抵抗も無く宮本は俺のモノをくわえ込んだ。思わず自分の口を反射的に押さえ、声を堪えた。

「んむっ……んっ……ん、ぁ……はぁ…っ……。」

『嘘だろコイツっ……つかっ……気持ち、いい……なんてっ……くそ、がっ……!!』

ジュプジュプと卑猥な水音が耳に入る。初めて経験するこの快感に、全身が震えた。徐々に壊れゆく自分の理性に、この快楽を受け入れようとしている自分に羞恥と悔しさが込み上げて来る。

「あぅっ……んっ……ぁ、はぁっ……あっ……!」

彼の上下運動に生理的な涙が頬を伝い、いつの間にか口元を押えるのをやめ、無意識に宮本の頭を押さえつけ、脚の間に埋めるよう力がこもった。

『もうっ……ダメ、だ……出るっ……!』

「っ……は、あぁ……くっ……んんっ───!!」

「んぐっ……!!」

ビリリと電流が流れるような刺激に、悲しいかな俺の体は悦んだ。だらしなく開いた口から犬のような詰まった息と、溢れた唾液がこぼれる。一瞬苦い顔をした宮本が俺の肉欲から口を離すと、喉を鳴らして熱を飲み込んだ。

「んっ……ふ、ぅ……はは、元気だねぇ九条君……まだ萎えないなんてさ……。」

「くっ……っ……うる、せっ……死ね……っ!」

「へぇー、まだ反抗する気力あるんだ?流石、あの厳しい訓練を乗り越え、1つの部隊を指揮する立場になるほどの強さを、手に入れた人は違うね。強靭な肉体と精神……さて、どこまで……耐えられるかな……?」

彼はニヤリと口角を釣り上げると、俺の肩を押してベッドに倒した。スプリングがギシリと鳴くと、常人よりも大きな男2人を支えた。普段の俺ならいとも簡単にはねのけてしまえるほどのことも、今の俺にはかなわなかった。服の上から胸の飾りを潰され、刺激に腰が跳ねる。

「ひぁっ……!」

「……ふふふ、感度良好。やっぱり君は……最高だよ。どこまでも俺を、楽しませてくれる……さぁ、もっと踊ってみせてよ。もっと淫らに……なって見せて……?」

「ん、ぁあ……っ……それっ……や、ぁ……っ!」

グリグリと弄られるそれは、宮本の攻撃にぷっくりと膨らみ、服の上からでも分かるほどになる。腰から溶けそうなほどに、自分の下肢はまた熱をこぼした。力なく彼の腕を掴むが、薬の十分にまわった俺が、勝てるはずも無かった。

「ひあぁっ……っ!そ、れっ……やめ、ろ……ってぇ……もっ……触ん、なぁっ……!!」

「ほんと素直じゃないよねぇ。どうせなら九条君も、気持ちイイ方がいいでしょ?俺に任せなって……痛くはしないから……ね。」

べロリと胸を舐められると、思いもよらぬ声が口からこぼれた。その生暖かい感触が、不思議と不快感を感じなかった。ふと宮本のズボンに目が行く。彼もまた、ジーパンを持ち上げるほどにはなっているようだった。この男は俺を弄ぶことで、野性的男性の本能が機能したとなると、やはり本物の変態なのだろうと、機能しない脳で思った。そんな考えをよそに、行為は進んだ。いつの間にかズボンは床に落ち、下着もはがされている。ベッドの備え付けの棚を漁る彼の一言に、耳を疑った。

「えーっと……ローションはどこに置いたかなぁ……。」

「っ……!?ま、さか……てめっ……!!」

ベッドから身を起こそうとすると、左手首が引っ張られた。ガクンとそのままベッドに突っ伏すと引っ張られる理由が分かった。

「っ……いつの間にっ……!」

「これでも僕は、軍人のはしくれだかんねぇ……これくらい造作も無いよ。……僕は、ホモだけどね、残念ながらバリタチなんだよねぇ……僕より大きな人を抱くのは、これが初めてだよ。」

俺の左手首は、頑丈な縄のようなものでベッドの柱にくくりつけられていた。彼も戦術に対し高度な技術を身に付けていることはよく分かった。それがまさか自分に仕掛けられるとは、誰が予想しただろうか。これでもう逃げられないだろうと言わんばかりに、宮本はひんやりとしたローションを握る。薄ピンクの粘り気のある液体は、俺の熱を包み込むようにたっぷりとかけられ、ぬらぬらと光った。

「ん、っ……冷たっ……!」

「冷たいのは、最初だけだよ。今によくなるから……君はこのまま、楽にしててよ。」

そう言うと彼は俺の太ももを掴むと、下肢の下が見えるよう持ち上げた。鍛えているだけあるその握力に、俺のももの皮膚は悲鳴を上げた。ギリリと食い込む指が、日焼けしていない白い肌に赤い痕を付けた。痛みに唸っていると、下肢の下、普通なら用途の違う穴へ彼の指が侵入してきた。

「痛っ……あ、や…やめっ……く、ぁ……んぅっ……っ!?」

ぐちゅぐちゅと先ほどのローションが音をたて、節くれた指が俺の中をうごめく。息をつまらせ、逃れようと必死に抵抗する。が、それは無駄なことだった。

「やめっ!……やめ、ろ……ぁ、っ……やぁ……っ!」

「逃げようったってそうはいかないよ……まだ薬が抜けきってないだろ?こんな状態じゃ、家に帰るどころか、歩くことも出来ないだろうしさぁ……もっとさ、力……抜きなよ……もっと楽に……。」

「ん"っ……あぁっ!……や、ぁ……やらっ…いや、ぁ…あぁっ……!!」

「へぇー、嫌なの?こんなに良さそうじゃないか。君の中……凄くうねってて、熱くて……とろけそうだよ……それにココも……。」

ついさっき達したばかりなのに、俺の下肢はまた成長していた。奥にあるしこりを押され、腰が跳ねる。先走りの垂れたモノがヒクヒクと切なげに揺れると、宮本は器用に肉棒と穴の両方を攻めたてる。えも言われぬ快楽が脳を突き抜け、自然と腰が揺れてしまう。

「あっはは……腰、揺れてんの分かるかい?自ら欲しがってくれるなんて、可愛いじゃないか……♡」

「んぁあっ……!あっ……ひ、あっ……ぁあっ、ま、た……イっ───!!」