俺に母親の記憶はない。
 

気づけば酒かっ喰らって俺を殴るだけの父親しかいなかった。


こいつがひでえヤツで、女のヒモ。


たぶん、俺の生みの親もそんな相手の一人だったんじゃないか。


なんで俺がこいつのもとで暮らしてるのかはわからなかったけど、まあそんなサイテー野郎は、そのうち借金に首が廻らなくなって首吊って死んだ。


俺はその、いわゆる第一発見者。


つっても四歳のガキだったけど。それだけのこと。


そのまま生きてたっていずれ俺が父親を殺していたかもしれない。


俺が殺すより先にてめえで死んだってくらいだ。