その事実を知って、体験して1年がたとうとしているのに私の心はまだ消化しきれていない。なんとなく、苦しんだ関係がなんとなく的確な理由もわからないまま、1年経過してしまったことがつらくて仕方がなかった。放課後を告げるチャイムが鳴り、数分したころ、私のクラスにロスがやってきた。若干猫背な、中学校からの同級生の男子である。
「リト、調子よくないね。」
強くない私はわかってるくせに、なんて思ってしまう。
「…仕方ないことなんだけどさ」
「クラたちのこと?」
小さく頷くとロスはもともと細い目を余計に細めた。無表情が当たり前になりかけている彼の中に若干だけれど悲しさが見えた。
「姫、学校完全にやめちゃったみたいだよ」
「え、嘘」
「ヒロから聞いただけだから定かではないけど」
そうなんだ、としか言葉は見つからなかったが心底驚いていた。私のいう嫌味だと二兎も追えなかったんだよ、というところか。…子供っぽいから口には出さないけれど。
「そっか。まあクラがいるんだから、大丈夫なんじゃない」
そっぽを向いたつもりだった。ざわざわとした空間では私の不機嫌な気持ちなど、飲み込まれていくような気がしていく。言ってしまってなんだが、ロスの顔を見たくなくなった。なんとなく、怖い気持ちが先走る。