7月末。じりじりとした日差しが段々と痛くなってきた。課題が終わらずともまだ焦らない夏休みのハッピータイムである。俺は毎日部活動の予定が組まれているが、充実してるといえば充実しているからよしとしよう。この時期になると俺以外にも電車の定期を利用して部活帰りなどに遊びに行くことがある。ああ、もう夏なんだなぁとかその度考えていた。今日は俺がその番で、定期を使って私服でいつもの電車に乗り込み、途中下車した。
 高校進学してから遊びに行くことが少なくなったこの駅はいつも俺が降りている駅よりは人が少ないものの地元に比べれば遊べる街ではあった。わざわざいつも降りる駅を遊び場に使わなかったのは他でもない、5人で遊ぶためだ。俺は駅の外に設置されているベンチで彼らと連絡を取り合っていた。次の電車で向かうから!と電車になれていないリトやロス。姫も寝坊したということで次の電車で来るそうだが、クラから連絡が来ない。
 それにしても、今日は暑い。待合室がいっぱいいっぱいだったという理由で外にでたが、既に汗をかいてしまっている。そろそろ中にはいろうかと立ち上がり、入り口の方に向かう。扉を開けると、茶髪のうつむいた青年と向かい合ってしまった。近い。
「あ、すみません」
「え?誠也じゃん?」
「え?」
俺よりも若干背の低い青年が俺を見上げる。茶色に染髪していて気づかなかったが、クラだ。黒いTシャツにピアスを開けている。