《莉乙side》



長かった夏休みが終わり二学期が始まった。


あの旅行は辛かったのは夜だけで最後は楽しかった。


翼くんも普段通りであたしのこといじってきたし。


だから、あたしも変に気を使わないで接することが出来た。



のは…いいけどやっぱり心のどこかでは複雑な気持ちを抱えたまま。



翼くんの好きな人は千鶴ちゃんだっていうのは分かってるのにあたしに思わせぶりな態度を取るから…期待するんだって。


今だって、もしかしたら……なんて思ってるんだから。



「あかりぃぃ〜〜…」



あたしは前の席に座っている朱里の椅子をガタガタと揺らす。


「何よ。新学期早々」



朱里は呆れたように振り返る。


夏休み、朱里は彼氏と少し遊んでから
一ヶ月間短期留学をしていたため、夏休みは会えなかった。


それにしても、相変わらず朱里は冷たい。


彼氏にもそんなのなのかな?


他校らしくて、写メも見せてもらったけどなかなかのイケメンで。


朱里が好きそうな顔だった。