桜の満開、小鳥の鳴き声が春を知らせる時期。



私の所属する部署では、朝礼が行われている。


前に立つのは、元部長と新部長。



「今日から部長となりました、結木です。よろしくお願いします」



そう言って、微笑んだ結木さん。



女性社員は頬を赤らめる。


それを見た結木さんは、満更でもなさそう。



私はつい、眉をしかめてしまったけど。



「今日からはしっかり結木の指示に従うように!」



元部長が言った言葉も、彼女たちの耳には届いていないだろう。


みんな、結木さんに夢中なのだから。



だが、それを言って満足したのか、元部長はこの部署を出ていった。



でも、こんな調子で大丈夫なのかな。


きっと、誰も仕事が手につかなくなると思う。



「結木さん、下の名前教えてください!」


「彼女、いるんですか?」


「好きな食べ物は?」