よく考えたら、普通に起きて新幹線に乗って、特急しまかぜに乗って来ただけだったんだが。

 真湖のおかしな夢のせいで、自分まで、来るまでに一騒動あった気がして、雅喜は既に疲れていた。

 新幹線に無事に乗れたあと、真湖は売店で買った缶コーヒーを飲みながらご機嫌だった。

 窓際を譲ってくれると言ってくれたのだが、いや、いい、と断り、通路側に座る。

 だが、失敗だった。

 通路を挟んで隣のカップルがやたら、いちゃついているのが目に入る。

 若そうだな、大学生か。
 勉強しろ、と心の中だけで説教する。

 しまいには、人目があるのに、男は女の頭を膝にのせ、膝枕をして話し出した。

 ……家の中のように寛ぎ切っている。

 昔なら、この莫迦どもが、と思って見ないようにしていればそれで済んでいたのだが。

 今は切実に思っていた。