──────ガシッ


黒川くんからの電話を切って、トボトボと家に向かって歩いていると、後ろからガシッと腕を掴まれた。




「…く…黒川くん?!」


「やっぱり、泣いてるじゃん」


黒川くんははぁはぁと荒い息を整えながら、そういった。



なんで…。

どうして違う女の子といたのに。



「もう私のこと好きじゃないのに…優しくしないでよっ」


「姫野さん…」


「黒川くん、あの子のことが好きなんでしょ?…学園祭で再会して…それで連絡取るようになって…それから…」


涙をこぼしながらそう言う。


もう嫌われてもいい。
そんな勢いで、黒川くんに想いをぶつける。




数日間、まともに顔を見ていなかったから、こんな状況でも改めてやっぱりかっこいいなんて思っちゃって…。



「…私ばっかり好きみたいで…嫌だよ」



私は、そう口にしていた。