SIDE 慶太

*** 

芙祐ちゃん、笑って別れたんだって。
にわかに信じがたいんだけど。

弥生くんのさっきの落ち込み様からして
本当なんだろうね。


……なにやってんだろ?芙祐ちゃん。


別れたーって、大喜びしたいところだけど、
喜びきれないとこもあるよ。


だってまだ、芙祐ちゃんは
弥生くんのこと大好きじゃん。


”俺のこと大して好きじゃなかった”
なんて、弥生くんは言ってたけど。


そんなわけないでしょ、普通に考えればわかる。


芙祐ちゃんに対して失礼にもほどがあるし、
あとついでに俺にも失礼すぎ。


……じゃあ今までの芙祐ちゃんは何だったんだよって話じゃん。


何か理由があるって、俺は迷わず思うのに。

なんであれだけ愛されて追いかけられてた幸せ者が、
芙祐ちゃんのことを信じてやれないの?


自分は、二番目に麻里奈ちゃんを好きかどうか、
否定できないくらい優柔不断なくせに。


……なんで弥生くんのこと好きなんだろ、芙祐ちゃん。

やるせなくて、自然とため息が出る。