次の金曜日。


来ませんか、と連絡が来ていたので、今見た、今から行くと返事をして早足で伊波くんの家に向かった。


二人でチンジャオロースを作って食べて、デザートにオレンジを切って食べて、食後の紅茶を飲んで、ゆったりソファーに座る。


「麻里」

「ん?」

「もうちょっと近づいてもいいですか?」

「うん。どうぞ」


へにゃりと笑った伊波くんが詰めるのに合わせて、私も少し距離を詰める。


こつん、と頭と肩がくっつくまで横にずれて、体温が混ざるのをゆっくり待った。


あったかくて優しい時間が穏やかに流れるのが、私は結構好きだ。


「伊波く」


私の呼びかけを遮って、ぽん、とスマホのタイマーが鳴った。


ぽんぽんぽんぽん、何度も繰り返すそれを慌ててとめて、ごめん、と伊波くんを振り返ったら。


真っ青な顔をした伊波くんが、スマホを凝視していた。


口を開け閉めしてゆっくり私を見て、またスマホを見て、またゆっくり私を見て——真っ青な顔のまま、いつもの表情を作った。


ああ、来た。来てしまった。


眼鏡は外してないけどこれはスイッチ入ったよねそうだよね。


「麻里」