『……麻里は、なんて言われるのが一番グッと来ますか?』


いつしか聞かれた質問。


『好き。好きって言われるのが一番好き』


手短な私の答え。


『じゃあ僕、口説くときは絶対好きって言いますね』


——金曜日の夜にはいつも蘇る、いつかのこと。


『た……楽しみにしてます』

『はい。楽しみにしててください』


もういつだったかも、どこだったかも、朝なのか夜なのかも覚えていない。


もしかしたら去年のことかもしれない。


伊波くんの家にいるときで、……金曜日だったような、気がする。


そんなふわっとした記憶だけど、交わした会話だけは鮮明に覚えている。


伊波くんは、絶対、と言った。

絶対好きって言うって約束してくれた。


だから私は、伊波くんが好きと言ってくれるのを待っている。


嬉しかった約束を思い出してくれるのを、待っている。