恋side


あの後すぐに琳の車で家に帰った私たち。


右京のことが頭から離れないまま、ぼーっとしているといつの間にか着いていた。


「恋、大丈夫か?」


「……うん」


「無理するんじゃないぞ」


「わかってる」


琳はいつだって、私に優しい。

いつだって、私の為を想って行動してくれる。


今だってほら。

キッチンに行って作るの慣れてないくせに私の大好きなココアを作ってくれてる。


「これでも飲め」


「ありがと琳」


琳の作るココアは、とても心に染みる。


「今の希龍ってあんな感じなんだね」


「あぁ」


「倉庫、なにも変わってなかった」


「あいつらは伝統を受け継ぐことを大事にしてるからな」


「それなら、……安心だね」


「あぁ。あいつらになら、希龍を任せられる」


「……私もそう思う」


"あの頃"が懐かしくて懐かしくて仕方ない。


"あの頃"に戻りたいと思ってしまう私は、弱いままだ。