恋side



『恋…愛してるよ』
『いやっ…!!』
『なんで嫌がるんだ。いい子なんだからこっちに来なさい』
『来ないでっ!!』
『恋!!』
『い、痛いよぉ…誰か、助けて………』
『恋…俺の恋。愛してるよ。ほら……』

「いやぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

「恋!?!?」

「はぁ…はぁ…はぁ…」

嫌な、夢を見た。

駆けてくれたのは琳で。

「恋……」

「やだ…やだっ…やだよっ…こ、わい……」

「大丈夫。大丈夫だから。」

震える私を抱き締めて背中を優しく撫でてくれる琳。

10分程して落ち着いてきた。

「琳……」

「夢、見たのか?」

「…………」

返事の代わりに頷く。

「今度こそ、俺が守る。約束する。」

「…………」

「しばらく休め。落ち着くまで家から出ない方がいい。」

「うん………」


そういえばスマホ…と思ったけど部屋にはなかった。

きっと琳が持ってるんだと思うけど、今は誰かと連絡を取る気分にはなれなかったから まぁいっかと思ってそのままにしといた。


「ねぇ琳、剣は?」

「あいつなら次の日には意識戻って元気らしいぞ」

「そっか……」

「退院もあと何日かで出来るらしい」

「…………」

自分のせいで、"また"大切な人が傷ついた。

ーーー私を守るために

剣にも、合わせる顔がない。

「恋に見舞い来てほしかったらしくてずっと拗ねてんぞ?あいつ。帰って来たらいつも通りにしてやんな」

「うん……」

「心配するな。誰もお前のせいだなんて思ってない。」

「…………」

拉致られたあの日から、正直何日経ったか分からない。

部屋にカレンダー置いてないし、カーテン開けてないから今が昼間かどうか分からないし、部屋の時計も何故か無くなっていたから時間も分からない。

まるで軟禁だな、なんて思うけど全然苦じゃないしむしろずっとこのままでもいいなんて思う。