一呼吸置いてから、右手を胸に当てて握り、高ぶる感情を抑えるようにまっすぐ言った。



「この子には、この先の未来がある。辛いことも、苦しいこともいっぱいある。でも、それでも生きて欲しいって思うのは



世界中を敵に回しても、彼女のことを大切だって思えるからよ!!」



振り返り、私に微笑んで再び前を向いた。その顔をは、優しかった。優しすぎた。



「ユキナさん!!」



「古代術式、悪魔の雪!!(スノウ・ヴィル)

せめて、あなたを道ずれにする!!」



今ならこの術式の効果がわかる。約−273度の雪を降らせ触れたところから凍っていき、凍った後にデコピンでもすれば、術式にかかったものごと砕けてバラバラになる。



ただ、今の弱ったユキナさんがそれをやれば、精霊力は底をついて、確実に死に至る。悪魔などの精霊は、死じゃなくて消滅の方が正しいのかもしれない。