少女が、何でもこなせる才女だと初めて言われたのは

街の中で子どもならほんの少し秀でているだけでも使えた初級術式を、ほぼ全て使用できたからである。



少女が、何もできない無能だと言われるようになったのはそのすぐ後。


何でもできる。だから、何でもやらせようとした。


『全てできた』彼女

だから、『全てできる』彼女『だろう』

と、周囲も期待した。



期待を背負った少女にとって


「できないことがある=自身は社会的死」


という、暗黙のルールができていた。



そんな彼女にも一人の妹がいて、妹こそ


期待され、才女とまで言われた自分にさえできなかったことを『全て』やり遂げた。



臣下からの信頼も



異能力者としての尊厳も



精霊の扱いも……。