「お前はクラン家の誇りだ。もう直ぐ生まれる妹にも恥じぬよう精進しろ。」



子供っていうのは、沢山の可能性があるって話を聞いたことがある。どこの誰か?なんてことはもう、忘れちゃったけど。



「はい、父上。」



この頃はまだ、父の言うことを聞いているいい子供。


人と話すのは苦手だし、人前の出ることも苦手だった。


だから、自分の意思なんて持たないで、言われるがまま言われたことをやっていたんだ。



だって、生まれ持っていた才能は、そうすれば勝手に開花して行った才能だったから。けど



「お兄ちゃん?」



10も年が離れた妹マナが生まれてから、こうして後ろをついてきていると思うと、もう後ずさりは出来ないんだって気づいたよ。


それが、ウェルティフル学園に入った年のこと。


そして、悲劇も起きた。