私の家は、貴族と言われる中でも上位。公爵家だった。



「お帰りなさいませ。」



学校から帰れば、たくさんの使用人さんの出迎え。



「……。」



にぃが何も言わないのも、当たり前。



「みんな、ただい、ま。」



私に返事をしてくれないのも、当たり前。



「コクア様、ヴィオラ様。本日のお稽古は…。」



執事さんが読み上げる内容も、先週の今日とほとんど変わらない内容。



「わかった。下がっていいぞ。」



「はい。」



玄関が自動で開く。使用人さんたちが、私たち二人のためだけに玄関を開けてくれる。



毎日塵一つないような真っ赤なカーペットの上を、私たちは誰とも目を合わせず、無言で歩く。