「はぁ。」



堅苦しい会議も終わり、久しぶりの自室にいた。

ひとまず刑が課せられることはないものの、しばらくの間は様々な制約は付いていた。が、彼女の術式がコピーであることは公表されなかった。それは恐らく、フィルやカイラの配慮だろう。



「私は守られてばかりで、本当に弱い人間だったわね。」



コンコン



「はい?どなた?」



制約の一つに、貴族会副会長以上の地位の者の許可なく中級以上の術式を発動してはいけないというものがるため、歩いて扉を開けると、無言で抱きしめられていた。



「カ、カイラ!?」



貴族会に参加したままの正装で会いに来たようだった。



「……。」



「…随分、心配をかけましたね。」



彼女もまた、そう言って抱きしめ返した。



「ええ。知っているとは思いますが先の会議、国王として参加した俺も反逆者の味方だとかあーだこーだ言われました。とんだとばっちりです。けど、フィルが信じてたように、俺もファレリアを信じて待ってた。」



両肩を掴んで離したことで見えた、優しいその顔と言葉で、ファレリアの目にはドッと涙が溢れてきた。



「私、シュラやシラクスが裏切れなかった。だって、何も悪いことしていないのに、悪魔というだけで差別されて。」



涙ながらに言うファレリアの話に、胸を貸しながら相槌を打って聞いていた。



「私は、何をしたらよかったの。どうすることが、正しかったの…。」



するとカイラは、内ポケットから小さなキューブを取り出して術式をかけた。