「さっきの話やけどな」


レジが5つ並んでいるなかで運良く今日は梨花と並んでいる。

18時から働き始めて、15分ほどが経過した頃。

休憩もかぶっているけど待ちきれないのか梨花は小声で話しかけてきた。

顔だけは前を向いているところ、さすが抜け目がない。

たまにちゃっかり防犯カメラでアルバイトがきちんと働いているかをチェックしてる店長を気にしてのことだろう。



あたしも彼女の意思に応えて前を向いたまま「うん」とだけ答える。


「なあ、中内春樹って知ってる?」


「えっ……?」
なんで知ってるん?と言いかけて口をつぐむ。

あの幻の夢のことは誰にも話してない。

いや、話すと完全にクレイジー扱いされそうだから。

さすがの梨花にも。