付き合い始めて分かった事は、学は思ったより私に甘い。


契約彼女の筈なのに、本当に私を好きじゃないかと思うぐらいだ。



ピンポーン!



家のチャイムが鳴る音にソファーで学の事を考えていた私は現実に引き戻された。



「はい。」



インターフォンに家政婦に来てもらっている英枝(はなえ)さんがでた。


お母さんが家を出てから我が家の家事一切をお願いしている方だ。



「葉月さん、篠崎さんがいらっしゃいましたが。」


「出掛けてくる。」


「葉月、噂になってる彼氏か?」



ソファーに座り本を読んでいた父が聞いてきた。私は父を見て頷いた。



「デートに誘われたの。出掛けてくる。」


「そうか。気を付けてな。」


「うん。」



私はコートを羽織ると外に出ていった。家の外に停まる高級車の前に学が立っていた。



「学、お待たせ。」


「ああ。親父さんは?」


「いたわよ。行こう?」



学が開けた助手席に座れば、学が運転席に座った。