…もくもくもく…

小さな部屋には、あったかい真っ白な雲が立ち込める。


あこはあっちゃんからお風呂に入れてもらっていた。

あっちゃんがあこの体を優しく洗ってくれた。

体中、傷だらけ。
体中、あざだらけ。

お湯がしみて痛がってもおかしくないのに、あこは天井の一点を見つめたまま、無表情だった。

「あこ…っ…」
あこの傷だらけの全身を洗っていると、涙出てくる。
あっちゃんはあこにバレないように泣いたつもりでも、あこには分かってしまう。

あっちゃんの涙を小さな指で、きゅっ…っと拭いながら、あこは今日始めてあっちゃんと会話をした。

『あっちゃん?』

「…!どうしたっ?痛いのか?
しみるんだろ?…ごめんな?…」

『あっちゃんは、どうして、あこの体洗ってるの?』

あこの目は虚ろだった。

「はっ?何言って…」

あこは、あっちゃんを見て、にっこりと微笑んだ。
『あこの体は…そんなに汚いですか…?』