ケータイ小説 野いちご

君のまなざし

偶然
居酒屋の偶然


茉優とハッキリ別れてから3ヶ月。ドレスアップした笹森さんに出会った。

それは高校時代の同級生の結婚式。
笹森さんは新婦の職場の先輩として出席していた。
総合病院でナースをしているという新婦の参列者はきれいな女の子ばかりだったが、笹森さんの存在は際立っていた。

派手に飾った女の子達の中でシンプルなフォーマルドレスにハーフアップしたヘアスタイル。大人の女性としての魅力いっぱいでクラクラとした。

気付けばずっと彼女を見ていた。

しかし、二次会には行かないという笹森さんを見送ることになる。

「二次会は若い人たちの出会いの場所でしょ。若い人たちのものよ」と笑って帰ってしまったのだ。
仕事から離れて彼女と話をしたかったのに。



しかし、絶好のチャンスがやってきた。

仕事の後に一杯やろうかという話になり、鈴木、井出と木田と共に、以前にも行った木田の彼女がバイトをしている店に行った。井出が柴田に連絡をして店で合流する。
井出は柴田を師匠と呼ぶほどで非常に仲が良い先輩後輩関係らしい。

ふすまで区切られた座敷に通されると、隣の座敷から女性
の話し声や笑い声が聞こえてくる。

今日は混雑しているから、多少うるさいのは仕方ない。
もともと一つの大広間を人数によってふすまで仕切り、少人数に対応しているらしいから。

隣はどうやら女性グループらしい。

「うちにも女性陣が欲しいですね」
と酒が回り始めた木田が言う。
「キャーキャーうるさいのはいらない」
井出がそう言うと鈴木が深くうなずく。

「そういえば、この間また鈴木に女子が群がってたな」
数日前の出来事を思い出す。

新人トレーナーの研修に本社から6名派遣されていた。
大卒の女性3名と男性3名。

ここのトレーニングジムに女性スタッフはごく僅か。

女性といえば会員さん、女子中高校生。

鈴木を見るとたいていの女性は見とれてそして夢中になる。
新人トレーナーの3人も同様だった。

誰もが我先にと話しかけ鈴木の視線に入りたがる。それはもうあからさまに。お前たち仕事に来たんじゃないのか?男を探しに来たのか?と呆れる程だった。

鈴木がキレる前に俺が一喝したが、時遅く鈴木が冷たく言い放った「ここに何しに来たの?オトコと話したいだけならさっさと合コンなりホストクラブにでも行けば?迷惑なんだよ」と。

女性研修生は鈴木の冷たい視線と態度に凍り付き、以降近寄ることはなかった。

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