ケータイ小説 野いちご

君のまなざし

女神
面談

店舗運営も軌道に乗り始めたところで保護者面談のお知らせをジュニア会員に配布した。

1人20分程度で保護者からトレーニングに対する要望だくでなく、生活習慣や学校の事など面談を通じて家庭とトレーニングジムとの関係を密にすることが目的だ。

笹森さんは昼間の面談希望だった。

フロントで個人ファイルを用意して待っていると、面談予定の5分前に彼女はやって来た。

「面談予定の笹森です」
白いブラウスに落ち着いたレンガ色のカーディガン。スカートを合わせていて清潔感を感じる装い。

「お待ちしていました。こちらへどうぞ」

プレオープンの時に柴田が使った応接室に案内する。
ドアを開けて室内に招き入れると彼女は「ありがとうございます」と微笑む。

本当に綺麗だな。
中学生の子供がいるとは思えない。
いくつなんだろう。
俺より少し年上に見えるが実際はもう少し年上か。

彼女と応接室で向かい合う。
一目ぼれした相手と二人きりという事で他の保護者には感じたことのない緊張感。

面談では、トレーニング内容以外にもいろいろな話をする。
生活習慣や勉強、おまけに保護者の不安まで。
勉強しないとか反抗期で困るとか。

「何か気になっていたり不安に思う事はないですか」
と問うと
「気になるですか…進路と食生活と睡眠時間…かしら」
と少し困った顔をした。

「後は……あの子の将来的なことをどう考えていいのかわからないんです」
「将来的なことというのは、クライミングの事ですか?それとも職業とか?」

「両方です。
今はやりたいことをやらせてあげたいので、全面的に協力しています。
でも、このままこれでいいのかと思う事もあります」

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