試合は途中で中止になってしまったけれど、大雅はあたしの家に来てあたしの作ったお弁当を食べていた。


「せっかく作ってくれたんだから、しっかり食べるよ」


そう言ってくれたんだ。


「大雅君、今日はシュートを決めたの?」


そう聞いたのはあたしのお母さんだった。


大雅が家に来るのは久しぶりのことだから、両親は嬉しそうだ。


「はい、一応は」


そんな言い方をするのは、琉斗からのパスがなかったらシュートは決められていなかったかもしれない

と思っているからだろう。


「大雅はすごいんだよ。パスを貰ったらそのまま一気にゴールまで走るんだから」


「あらそうなの? すごいわね!」


「そんなにすごい事じゃないですよ。パスが回ってこなかったら、シュートは打てないんですから」


大雅はそう言い、あたいしの作ったおにぎりをほおばった。


「レギュラーに選ばれるかどうかは、いつわかるの?」


あたしがずっと聞きたいと思っていたことを、お母さんが先に聞いてしまった。


さっきから話しのタイミングをうかがっていたのだ。


「一週間後です」


大雅が少し背筋を伸ばしてそう言った。


一週間後……。


「あら、すぐに決まるんじゃないのね?」


お母さんは不思議そうな表情でそう言った。