帰りの新幹線。
疲れ果てている優は私の肩に頭を寄せて眠りにつく。
私は旅行で撮った写真を見返して、誰にも見られないように鍵つきのフォルダに移す作業をしていた。
…優しい笑顔も、寝顔も、あくびしている顔だって、どんな優も愛おしい。
画面にいる優の頰を親指でなぞる。
「…あれっ…」
気が付けば私の目にはたくさんの涙が溜まっていて。
我慢をしようと思っても、止まってくれることなく次々と私の頰を濡らしていく。
「…ぐすっ」
…まだ現実に戻りたくない。
まだ、この幸せを味わっていたい。
今日が終わって欲しくない。
叶うことない願いを何度も何度も願っては虚しくなる。
優に気付かれないように何度も何度も涙を拭いた。