「あははははははははは!!」
「ちょっと翠! 笑いすぎ!!」
薄い色みの木製家具が配置されたシックな北欧風カフェ、高い天井に翠の笑い声が響き渡る。
スーツ姿の男女であふれるお昼時。
運よく4人掛けのテーブルを見つけた、わたし、翠、田所の3人は、そろってランチ中だ。
「だってだって〜! 今朝の奈央の顔……あははははは」
そんなに机バンバン叩きながら笑わなくたっていいじゃない。
「もおおっ!」
「鳩が豆鉄砲くらった、ってああいう顔を言うんだよな」
田所まで、おもしろそうにニヤニヤ笑いながらキーマカレーを大きな口へ運ぶ。
「び、びっくりしたんだから仕方ないでしょ!」
わたしはむうっとしながら、サラダボウルの中のトマトにブチってフォークを突き刺した。
「せっかくあんな公衆の面前で熱烈告白してくれたんだから、年上からかっちゃだめよーなんて焦らさずに、オッケーしてあげればよかったのに」
「別に焦らしてなんかないってば! あんな年下のチャラ男、興味ないから!」
「えぇ? チャラいかなあ?」
「チャラいでしょ! 普通、出会って数秒で告白する!?」
「帰国子女だからでしょ。アメリカでは、そういうノリって普通なんじゃないの?」
「ここは日本ですっ!」