「結灯。連れてきたよ」

「ワンッ!」


「蛍太郎っ!」



4月。


春休みが終わって、俺は高校3年になった。

灯理も、俺たちの高校に合格して、進学した。



結灯は、一人で歩けなくなった。


明らかに痩せた結灯の細い腕からは、
たくさんの管が伸びている。

長くてきれいだった髪の毛は、治療に邪魔にならないように、肩くらいになった。



今日は結灯が蛍太郎に会いたいって言うから、病院に頼み込んで、許可をもらった。



「蛍太郎」


結灯は笑って、前していたように、蛍太郎を抱き締めた。


蛍太郎も、結灯に鼻を擦り付ける。




長い間、結灯はそのままだった。



「………蛍太郎は、私の形見」


「………は?」


突然そんなことを言い放った結灯。