満開だった桜はあっという間に散って。




桜は、咲いている時より、花がない方が圧倒的に長くて。




つい最近まで、綺麗なピンク色をしていた桜の木はもう、面影すらもなくなっていた。





明日は.....一生の中でいちばん忘れられない日。




忘れたくても、忘れられない。




忘れたくても、忘れてはいけない。



毎年毎年、来なければいいと願うけど。



時間は止まらないから。




「「ありがうございました!」」




帰りのホームルームを終え、みんなで頭を下げて放課になった。




ワイワイと一気に騒がしくなる教室。



まだ、夕方になると肌寒さが目立つ5月中旬。




私と、春くん、桃菜、橘くんは、もう特に何も言うことなく4人で集まって校門まで一緒に帰ることが日課になっていた。





お互いカバンに荷物を詰め、みんなが終わるのを待つ。




「さて、帰りますかね!」



と、橘くん。




私たち4人はみんな部活に入っていないから帰る時間はほぼ毎日一緒。



4人で並んで、校門まで歩く。