惑星モルグスカイ──太陽系から数百光年ほど離れた銀河系にある。

 乾燥地帯が多く、高い山が連なっている。

 全体の四割ほどは海だが、地球とは違って淡水である。

 主に現地人のモルクス星人が住んでいる。

 建物は過去の地球にあったプレハブを思わせるが、造りはかなり頑丈だ。

 首都はマハサケルバ。

 高層ビルが建ち並ぶ煌びやかな街だ。

 そこから数千キロほど南に行くと、ケルシバという田舎町がある。

 こざっぱりとした町で、娯楽もあまりない。

 その中で一際(ひときわ)、大きい建物が町の端にある。

 全長十五メートルの小型宇宙船なら、易々(やすやす)と納まりそうな程の倉庫だ。

「助けてくれよシルヴィ!」

 耳の長い男が銀色の髪の青年に泣きついた。

「突然呼び出してなんだよ」

 シルヴィと呼ばれた青年が眉を寄せて問いかけると、男は黒い猫目を目一杯丸くして彼の両肩を掴んだ。

 男の名はバルパル、モルクス星人である。

 地球人でいえば三十代半ばだろうか。

 身長は百六十五センチ、細身で白衣を着ている。

 地球の文化がここにも浸透しているのには驚きだ。

 彼は科学者で少々、融通の利かない所がある。