「いいよ。向こうがそう言うなら、喜んで会うよ」

その日の夜、私は高岡さんに電話をした。


「いいよっていうのは、仕事の方?それとも荻野君に会うって方?」

「両方とも。仕事の方は、繊維部門だから、すでに俺の持ち場じゃないけど、伝手はあるんだ。
仲のいい後輩が、担当の部署にいるからね。話を聞いてみる。
その時に、君の上司が一緒にやって来ても、何も問題ないじゃないか」

高岡さんは、楽しそうにあれこれ策を考えてる。
そんなに、会うことがうれしいんだろうか?

高岡さんがそう言うなら、私も納得しなければならない。

「そっか。仕事と絡めれば上手くいくのか」
でも、あまり気の進む話ではない

「楽しみだなあ」
高岡さんが、子供のように言う。

「何か楽しいんですか?」


「何がって、どんなやつかなあと思って。割と骨のあるやつじゃないか?」

「どうしてそう思うのよ」

「君のこと、本当に大切に思ってるからだろう?
それに、ちゃんとしたやつじゃなきゃ、認めないって意気込んでくるぞ」

「だから、そんな面倒なことしなくたって。その後輩の、担当の方を紹介してもらえればいいのに」

「なんで?別にいいじゃん。俺にも参加させてよ」
結局楽しんでるんじゃないの。