どうしたらいいのか分からない時は、成り行きに任せる。

人生に逆らうことなく、穏やかに過ごしてきた私は、ぼんやり事の成り行きを見守って、どっちにいたらいいのか判断が付くまでじっと待っている。

たいてい、こんなふうに過ごしていた。


けれど、その方法もいいとは限らない。
私は、今までこんなややこしい事態に陥ったとこはないんだから。

困ったことと言えば、せいぜい好きな人に思いを打ち明けるべきかどうかで悩むくらいだ。

それが、どういう訳か、複雑怪奇な面倒くさいことになってしまってる。


私には、好きな人がいる。
その人とは事情があって上手くいかなくて、別の人とお見合いした。

そのお見合いの相手は、母の友人の息子さんで、彼と私が仲良くしているのを見て、気が合うなら結婚すればいいと、結婚話が進もうとしている。

高岡誠さん、大手の商社に勤める穏やかで優しい人。

彼も、上手くいかない恋愛を抱えて私と結婚しようなんて本気で思っていない。

その高岡さんとの間で、結納を交わすと双方の親たちが言い出したので、私と高岡さんで結納は今時はやらないって、必死に止めたのだ。

結納は、回避できても婚約は無理だろう。

私も、二人を諦めさせる方法を今のところ見つけていない。