(遥斗SIDE)中1




「ばいばぁ〜い!遥斗!」

「うん、じゃあね」



俺、西谷遥斗。


よく軽いとかチャラいとか言われるけど、気にしてない。

別に女の方から話しかけてくるんだから、女好きってわけでもねーし。



なんとなくバスケ部に入ったけど、

なんか強豪校だったから楽しくねーし、やる気とか全然なかった。


エースとか呼ばれてるけど、正直自分の限界なんて分かってるし。



それでもやもやしてて、

告ってきた女子は全部オッケーして、いろんな子と付き合ったりしてた。





そんなある日。




「あっ、大橋さんだぁ!」

「…だれそれ」



最近、よくつきまとってカノジョ気取りしてくる女が俺の腕にしがみつきながら言った。


その視線の先には、廊下を友達と笑いながら歩く女の子がいる。


その子が通ると、そこにいた奴は皆振り返ってた。
    


その時は、可愛い子だなーって、思った。

まあ、それだけ。




後で知ったけど、その子は周りからは高嶺の花っていわれてる子だった。


勉強も運動も見た目も完璧で、この学校では姫のように扱われてるんだって。

だから、男が近づくことはないらしい。