結局、最後まで歓迎会参加してしまった。

本当にこう言う時に、電話が鳴らないんだよね。

夜、久しぶりに夜空を見た。
まだ、夜は寒さが残るこの時期。

北斗七星が輝いてた。

早く、帰ってお風呂入ろう。

そんな事、考えてたら。



「茜。」

聞きなれてる可愛らしい声が聞こえた。

振り向く時間も与えないで抱きついて来た。

「逢いたかった。」

泣いていた。

私、仕事でも迷惑掛け、親友にも迷惑掛けてたんだ。

「木村さん。お先に帰るわね。今夜は呼ばれない様に祈ってるわ。」

師長が優しく声を掛けてくれた。

周りのスタッフも気を利かせ何も言わないで帰って行った。

「楓。心配掛けてごめんね。元気にしてるから。」

私、何やってるんだろう。

あの時、どうしてあんな事したんだろう。

「ばか!! 別に大輔先輩と別れても親友だよ。何で何も相談してくれなかったの?」

泣きじゃくる楓の顔が見れなかった。

「ごめん。今日迎えに来てもらったんだ。ちゃんと楓に話して欲しかったから。」

先輩すまなさそうに声を掛けて来た。

先輩は悪くない。

悪いのはすべて私。

ピー、ピー。

携帯が鳴った。

「患者さんからだ。」

楓を離して電話に出た。

ストーマが破れたから来て欲しいんだって。

「ごめん。緊急で呼ばれたから行かないと。」

正直電話が鳴ったのは有りがたかった。

何話したら良いかも解らない中、逃げ出したかった。

結局、今も昔も変わらない。

「お願いだから今度ゆっくり話そう。だから、連絡先教えて。」

本当は交換したくなかった。

でも、交換する羽目になった。

「今度ゆっくり。」

逃げる様にその場を去った。