キャスケットという帽子はほとんど今は見かけない。

「あっても大体が婦人用でねぇ、探すのにいつも難渋するんです」

と耀一郎は笑った。

あとでつばさが検索してみると、もともとはウォール街の新聞配達の少年がかぶっていたらしく、ニュースペーパーキャップとも呼ぶらしい。

普段着でもスーツでも合うから気に入ってかぶっている…という話で、

「私も最初に会ったとき、変わった帽子だなって」

でもオシャレだし、何より似合ってるから…とまりあは言った。

芸能人という仕事になると、おのずとファッションや小物に目が行くらしい。

ともあれ。

互いにアートに関心があって、まりあはアクセサリー制作、耀一郎も手先が器用という似たような面があって、一緒にいろいろ作ってみたりするうちに打ち解けたらしかった。