「あの、玖下さん」



私は今、蓬條依良にお茶を入れるために玖下さんと一緒に屋敷内の給湯室にいた。




「どうなさいましたか?」




彼はポットに紅茶の葉を入れ、静かにお湯を注ぎながら私の問いに耳を傾けてくれる。




朝の蓬條兄妹の会話を聞いてから数時間は経っているというのに、二人の会話が気になって仕方ない。





でも、本人には聞けないから玖下さんとようやく二人きりになれたから尋ねたのだ。





「依良様が学校へ行っていらっしゃらないのは何故ですか?」





そう問えば、彼のお湯を注ぐ手が止まった。




蓬條依良は高校には行っていない。





それが何故なのか分ければ、蓬條の復讐に役立つかもしれない。




そう期待して玖下さんの返答を待った。