享也はどこかに隠れていろとは言っていたものの、具体的な場所は話していなかった。

公園には戻りたくないし、このまま銭湯付近に居たらあの男に出くわさないとも限らない。

そう、あの血まみれの男に。

私はポケットを探って、あの手書きの地図を取り出した。

「……やっぱり」

見れば公園から銭湯までが線で繋がっている。

私の歩いた道筋通りに線が引かれていた。

この地図を見れば、大体の自分の居場所が把握できそうだ。

それなら、と私は地面に地図を書き写した。

そして隔離部屋から公園、銭湯までを線で繋げる。

こうしておけば、享也がもしここに来ても私がどこへ行ったかが分かるだろう。

最後に峰ヶ崎邸と書かれた場所まで線を引いた。

途中、林という場所を通る事になるが、迂回できるか分からないので真っ直ぐ引く。