私は見知らぬ場所で目を覚ました。

ぼんやりとした頭を振るうと、泣いた後のような倦怠感が残る。

何か夢を見ていたような気がするが、どうしても思い出せなかった。

見渡す限り明りらしきものは一つもなく、唯一ある出入口の向こうは重苦しいまでの暗闇が続く。

此処は何処なんだろう。

不鮮明な視界の中よく目を凝らして見てみると、部屋だというのが分かる。

全く見覚えのない、誰かの部屋。

そう思ってふと横を見ると、さっきまで一緒に居た筈の享也の姿がなかった。

「享也?」

暗闇に向かって呼び掛けてみる。

静まり返った部屋からは返事はなく、私の声は闇に飲み込まれていった。

しんと静かな暗闇の中、たった一人で居るという孤独感に苛まれる。

何だか、前にもこんな事があったような……。

静けさが堪らなく怖かった。