世界は大きな者を乗せる物と人が1人ずつ持つ世界がある。
そう言う俺も世界の一つだ。
ただ、他人と違うのは複数の世界を支配している所である。
食ったのだ。世界を その大切な人を。



廊下をドタドタと音がする。そして眠りの繭は無造作に引き破られる。
「ルクス!朝だぞおっきろー」
俺が食った世界の1つ、モナドが豪快に起こしに来た。
世界の核がそこに無くとも核の持主によって好きな形で者は存在できる。
茶髪でくせっ毛。悪戯好き。これは彼が核を持ってた姿の子供姿。

以前、世界によってショックを起こし自暴自棄になった彼を救う為に、俺は彼の世界の核を奪った。
そして何も無い無邪気な子供として再生させたのだ。

寝ぼけ眼でモナドを確認するとそれはもう中に浮いていた。そしてそのまま俺の上にダイレクトに落下したのだ。

「モナド⋯⋯苦しい⋯⋯」
見事と言わんばかりに乗ったモナドは子供と言えどそれなりである。それが勢いよく乗ってきたのだ。痛みと苦しみで嫌でも目が覚めた。

「今日からお仕事でしょ?ララリリが言ってた。だから特性スープ飲んでけって。勿論デザートには月の気紛れだってさ」

「ん〜それは良いからどいてくれないと起きれねぇよ」

そか、とモナドはさんささっと降りると俺は丸まってた体を伸ばした。
仕事とは、他の世界を探索する事。そして悲しみや苦しみを減らし喜びや楽しみで埋めてやる事だ。

喜びや楽しみで世界が満たされると世界は更に成長し、自然は豊かに、人々の生活も楽になるのだ。
つまり世界の糧
だがその糧が苦しみや悲しみだと災害が起きたり人々の世界も沈んでしまう。

それを阻止するのが俺の仕事だ。


着替えを終え今に戻るとララリリが大鍋を一生懸命混ぜていた。
「おはようなのねぇ〜今日のスープもスペシャルだよぉ」
ララリリは俺が作った料理長であらゆる世界の物を混ぜた特性スープをいつも作っている。
どんなスープだなんてそれは摩訶不思議。1口で全ての世界が知れる味としか言えない美味しさなのだ。
無論、コンクリートも入ってるが

デザートの月の気紛れは一見すれば桃なのだが月の満ち欠けに応じて甘さが変わる珍しい果実だ。特に月蝕の時に食べると「女神の口付け」と呼ばれるほど甘い夢を見る。



この世界は俺が造った世界である。
大事なモナドを守為、自分の居場所を作る為。


今宵のスープは苺と犬の瞳が良い味を出していた。月の気紛れは残念ながら少し苦かった。
これが日常だ。だが、それで構わない。
大切な者が守れるなら世界の支配者になったって。


頭部の無いメイド、サクラクサが懐中時計を持ってきた。

「さぁて、そろそろ行ってきますか」
「え〜もう行っちゃうの〜?」
モナドは不満の声を上げた。だがこれはこれ。

でも、その時の俺はこの仕事がこんなにも大変な事だとは思いもしなかった。